オヤジの闘病回想記

ブログ「猫と杖とキャンピングカーと」に登場する1956年生まれのオヤジが約40年前に大怪我をし、躰の自由を奪われ人生観が激変、現在に至るまでの葛藤を綴った記録です。

思い描いた自活

半年の約束で元上司の戸建に同居することにしたが会社ではいい上司でも24時間年がら年中、傍に居ると、私の性格上窮屈で息苦しく、しまいにはストレスからか夜寝られなくなってしまったのであった。

限界だ。もうこれ以上は無理だ。

早くこの生活から抜けだそうと思ったのであった。

同居しはじめて3ヶ月目のことであった。

その為には元上司に同居を解消する旨を話さなければならない、解消する理由を色々考えたりもしたが、正直に話すのが、最良の判断と思い打ち明けた。

かなり引き留められるかなと思っていたが、割とすんなり話がついた。

日頃の私の所作が元上司にはお見通しであったのである。

話がついたことで、気分も楽になったのであった。

それ以降、週末は以前渡り歩いた、駅前の不動産屋さんに足蹴なく通い、2駅離れた2LDKの家賃4万円のアパートに引越したのであった。

引越は職場の仲間3人が手伝ってくれて、ワンボックスカー1台1往復で終わったのであった。

引越後、カツ丼を出前してもらい、その日は皆で酒を酌み交わし雑魚寝したのであった。

皆は寝付いていたが、私は妙に興奮し寝付けなかったのであった。

私は新居の暗がりで天井を何を意識するでもなく、ボーとみていたのであった。

やがて自分の活きてきた情景が走馬燈のように映し出されたのであった。

1956年に生まれ、幼稚園の入園式の断片的な記憶や小学校低学年で遊び回った裏山や田畑の景色、バイクで風を切って走り回ったツーリングロードの流れる景色に歓喜しながら走ったこと。

18歳で父親とそりが合わなく、家出同然で上京し
進学したが経済的に破たんし、知人もいない都会で、高校の担任教諭の知人宅に居候させてもらい紆余曲折し、一部上場企業に中途採用で入社したこと。

その後、海外出張で首の骨を骨折し頚髄損傷で1年と6ヶ月に及ぶ入院で絶望と葛藤の中、麻痺して動かない躰なのに激痛が出現し、生きる意味を見失い自死することを望んでいたこと。

何度かの手術に耐えて身も心もズタズタとなりながらも、時間の経過と共に躰が少しずつ回復してきたことで、希望を持ち貪欲にリハビリ訓練に明け暮れたこと。

頚髄損傷でも運が良く、機能が回復し周りの人々に支えられ退院できたこと。

退院後は生活の基盤となる会社に復職する事を許され自分なりに頑張っていたこと。

お世話になった元上司から同居を懇願され断ることができずに、曖昧な気持ちのまま始めた同居生活、そして挫折、やがて本来やりたかった自活を出来るようになったこと。等々

私にとって第2の人生のはじまりの夜であった。

翌日、仲間達が帰り部屋のレイアウトを終え、両隣の住人に引越の挨拶をして回った夕方に近くの量販家具店で購入した独りがけのソファが届き、殺風景な部屋がほんの少し部屋らしくなり、何だか嬉しい気持ちになったのであった。

本来自分が思い描いていた自活ができる環境を実現したのであった。


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余談
⇩我が家の健太 平成17年5月に保護猫になりました。
彼もまた、7~8年前から神経系の病を発症し後ろ脚に障害が有るけど、懸命に生きています。
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