オヤジの闘病回想記

ブログ「猫と杖とキャンピングカーと」に登場する1956年生まれのオヤジが約40年前に大怪我をし、躰の自由を奪われ人生観が激変、現在に至るまでの葛藤を綴った記録です。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

視線を感じながら・・・それでも歩く

転院して2~3週間ほど経過した。この病院に慣れてきた頃であった。患者さんの殆どが脳血管疾患や頚髄損傷で身体機能が損なわれ、この病院で車椅子の乗りこなしや日常生活に歩行器を取り入れたリハビリ訓練で社会復帰を目指した患者さん達であった。社会復帰…

眠れぬ夜が続く・・・少し憂鬱

転院してきた病院では、これと言った治療は無く社会復帰に向けた日常動作に特化したリハビリ施術を受けていた。病室では台所やお風呂が完備されていて、簡単な自炊や洗い物などが出来、リハビリで汗をかいた後いつでも入浴出来たことは有難い事であった。転…

高円寺から焦らず決意

自室の302号室で上司から会社の状況や組織改革の話などを聞き、復職に向けた段取りなどを共有した。上司を玄関で見送り、病院の外観を眺め、見上げた空は晴天であった。あらためて3階の302号室に入り、部屋を見渡すと1Kでバスとトイレが別々になった小洒落た…

転院先の入院生活はじまる

転院する朝、6時30分頃にいつも通りの検温や清拭が始まり、看護師さんが私の脈をとり「今日で退院ですね」「色々お世話になりました」と会話を交わし最後の検温を終えた。朝食を済ませお世話になったベットを整え、あらためてベッドに横たわり17ヶ月の時間を…

ブレイクタイム:令和で活きる頚髄損傷患者63歳の近況(2)

7月に入りましたが、頚髄損傷の後遺症が酷いので梅雨をじっと堪えている63歳のオヤジです。ブレイクタイム:令和で活きる頚髄損傷患者63歳の近況(1)に続き、下の話で恐縮ですがオヤジは梅雨に限らず、お腹の調子が悪い時に愛用しているものを思い切って紹介…

ほろ苦い思い出

転院を2日後に控えた朝に何時もの検温、清拭を終えると検温を担当していた看護師さんがやってきて、耳元で「手紙」と小さな声で囁いた。「えっ」と思った。 彼女を見ると、顔は微笑んでいたが耳たぶが真っ赤になっていた。数日前に枕元に置いてあったその手…

転院前に想う

入院から17ヶ月と3日が経ち、日本医科大学病院から社会復帰に向けたリハビリ専門の病院への転院が5日後に決まったのである。自分の人生を振り返ると私は小学校6年生から何かしらやりたいことがあると日程表や時間割を作り、計画通り実践する事を好んでやる人…

頚髄損傷患者と看護実習生

入院から17ヶ月が過ぎ、同室の患者さんは2~3ヶ月置きに入退院で入れ替わるため、私にはそこまで親しく話をする患者さんはいなかった。 あえて、そうしていたのである。挨拶はすれども一過性の患者さんと世間話に時間を裂くよりは、間近に迫った転院で寸暇を…

ブカブカ洋服と手紙

入院17ヶ月に入り、転院準備で身の回りの整理をはじめていた。ベッド傍のロッカーの扉を開けると17ヶ月前に着ていたジャケット、シャツ、ズボンがハンガーに吊してあった。ベッドの周りのカーテンを閉めて、ズボン、シャツを着てみたがズボンはウエストがブ…