オヤジの闘病回想記

ブログ「猫と杖とキャンピングカーと」に登場する1956年生まれのオヤジが約40年前に大怪我をし、躰の自由を奪われ人生観が激変、現在に至るまでの葛藤を綴った記録です。

高円寺から焦らず決意

自室の302号室で上司から会社の状況や組織改革の話などを聞き、復職に向けた段取りなどを共有した。

上司を玄関で見送り、病院の外観を眺め、見上げた空は晴天であった。

あらためて3階の302号室に入り、部屋を見渡すと1Kでバスとトイレが別々になった小洒落た間取りだった。
窓から見える街並みや往来する人々をボーッと見ていているとノックする音が聞こえドアを開けると私より背が低い2人の男性が立っていた。

担当医U氏とリハビリ担当T氏です、と、それぞれから自己紹介をされ、私は「今日からお世話になります〇〇です、よろしくお願いします」と挨拶を交わした。

杖を突いて立っていた私は、ベッドの傍のソファーに2人を招き入れたのであった。

担当医U氏は170cm中肉の45歳位でリハビリ担当T氏は同じく170cm位でガッチリした体格で30歳位の容姿だった。

担当医U氏から「頚髄損傷の患者さんで自立歩行されているのを初めて診ることになり、色々勉強させて欲しい」旨の話をされ、リハビリ担当T氏とは今後のリハビリ訓練の内容やスケジュールの確認をした。

話が終わり2人が去った後、荷物を解き、着込んだジャージーに着替え、新しく買った歯ブラシやタオルを洗面台に置き、病院探索がてら杖を突きながら院内を歩き回った。

自室に戻り私はまた窓際に立ち、何処か遠くを見ながら、この高円寺から焦らず一歩一歩確実に階段を登り社会復帰を目指す事を決意したのであった。

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