オヤジの闘病回想記

ブログ「猫と杖とキャンピングカーと」に登場する1956年生まれのオヤジが約40年前に大怪我をし、躰の自由を奪われ人生観が激変、現在に至るまでの葛藤を綴った記録です。

葛藤

不甲斐なさと惨めさと

母との同居生活の話が立ち消え暫くの間何事もなく時間だけが過ぎていった。管理職となり構成人員が150名と拡大する中、会社の健康診断で不整脈が出現していることからT大学病院の紹介状を受け取る羽目になったのであった。これまでも日常生活で不整脈の自覚…

彼とフィアンセの葛藤

隣部屋の頚髄損傷の患者さんの部屋を出て、自室に戻ってもまだ彼の余韻が残っていたのであった。治癒する怪我ならともかく、頚髄損傷は残酷で絶望しかなく、恐らく隣の彼は頚髄損傷の私が自立歩行している事を聞き、1分の希望を抱き絶望の中から抜け出したか…

ほろ苦い思い出

転院を2日後に控えた朝に何時もの検温、清拭を終えると検温を担当していた看護師さんがやってきて、耳元で「手紙」と小さな声で囁いた。「えっ」と思った。 彼女を見ると、顔は微笑んでいたが耳たぶが真っ赤になっていた。数日前に枕元に置いてあったその手…

残り3ヶ月の葛藤

入院から15ヶ月。 この頃、私は上半身にコルセット、左脚にはシューホーンブレイス(短下肢装具)を装着していたが、いずれもジャージーの下に装着していたので、立ってる姿は、普通に歩くことが出来る患者にしか見えなかった。車椅子から歩行器でリハビリ室…

8,760時間目の葛藤

8月に入り、入院してから1年が過ぎた。23歳で頚髄損傷という人生を破壊してしまう怪我をしてしまい、人生の礎を構築するのに、とても大切な時期を病院のベッドで過ごすことになるとは想定外という程度の言葉では片付けられなかった。この先どんな人生を歩ん…