視線を感じながら・・・それでも歩く
転院して2~3週間ほど経過した。
この病院に慣れてきた頃であった。
患者さんの殆どが脳血管疾患や頚髄損傷で身体機能が損なわれ、この病院で車椅子の乗りこなしや日常生活に歩行器を取り入れたリハビリ訓練で社会復帰を目指した患者さん達であった。
社会復帰を重んじたリハビリ病院だったからか、この中規模病院のベッドは満床ぎみで、大部屋は空いておらず、私は会社(上司)の伝手で最長入院2ヶ月を条件に一部屋空いている個室に何とか入院できたのであった。
リハビリ担当のT氏曰く、何時もこれ位の患者さんが入院しているということであった。
この頃の私は右手に杖を持ち左脚の膝には膝関節装具を付け、更に足首には短下肢装具を装着していた。
この3点セットで自力通勤や1人暮らしを想定した日々の動作を取り入れた訓練をしながら復職診断に備えていたのであった。
私は10時~12時の2時間は、混み合ったリハビリ室で与えられたリハビリメニューに取り組み、時には器具待ちをさせられる時もあったが何とかやり抜いていたのである。
午後は14時から街に繰り出す自主練をしていたが杖を突き、ぎこちなく歩く姿を往来する人々は、物珍しそうに視線を注ぎ、時にはお年寄りの方は立ち止まってこちらを哀れんで見ているような時もあった。
商店街を歩く度に「あっ、また見られてる」と感じるもお構いなしに歩み続けるのであった。
ただ街に繰り出し不思議だったのが、躰の機能が損なわれ入院している患者さんは多いのに、世の中では余り見かけないことだった。
訓練中にすれ違うことも無く、時折お年寄りが杖を突きながら買い物されているのは目にしたが車椅子に乗っている方を見かけることはなかったのである。
いったい何処でどうしているのか・・・
社会復帰してないのかな?・・・であった。
※バリアフリーなど皆無であった40年前と比べて、令和元年の今は私の居住地域でも車椅子で外出される方や杖を突いて歩いている方をよく見かけるようになりました。
街中も階段横に手摺りやスロープが設置されるなど環境整備は充分ではありませんが進化していると思います。
でも今だに私(63歳)はロフストランドクラッチ杖を突いて歩いていますので凝視までとは言わないが視線を感じながら歩いています。
仕方ないのかな~。
⇩最近オヤジが使っているロフストランドクラッチという杖です。
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