オヤジの闘病回想記

ブログ「猫と杖とキャンピングカーと」に登場する1956年生まれのオヤジが約40年前に大怪我をし、躰の自由を奪われ人生観が激変、現在に至るまでの葛藤を綴った記録です。

引越とマイルストーンの移行

頚損患者のK氏が転院してから、私がこの病室で最長患者になってしまった。

これまで最長患者だったK氏は、昨日熱海方面のリハビリ専門の病院に転院したのだった。

今後、彼と二度と会うことも無いだろうが、どうか穏やかで豊かな人生を育んで欲しいと願った。


私が鎮座するこの病室は、躰にいろんな電子機器やチューブを付けられ集中治療室から移ってくる患者が多く、昼夜関係なくピーピーという音と、看護師さん達が頻繁に出入りする足音で、私は寝不足となっていた。

この頃はリハビリ主体の入院生活で、上半身をコルセットで固めていたが、前方固定手術の骨癒合も良好でリハビリ以外のベッド生活ではコルセット装着は無くなっていた。

食事等のベッド生活は、介助なしである程度ひとりで済ませることが出来るようにもなっていたので、
緊急性の高いこの病室に私が居ることは、少し疑問があったので、主任看護師さんに部屋移動の申し出をした。

2~3日後には隣の部屋に移動し、新たな気持ちで、孤独な入院生活に入っていった。
これで睡眠不足からも開放される嬉しさと、なんだか外界で引越したような、少しウキウキした気分にもなれたのだった。

リハビリ室でのつかまり立ちの訓練もM氏の手を借りずに出来るようになり、自分の脚で立っている、そこから見える視界に自分の身長を思い出していた。そして、視界に入る、松葉杖で歩く患者を羨ましく思い、私もその場で足踏みをしていた。

両脚の大腿部の周りも少し頼もしくなり、車イスから平行棒につかまり立ち、数日後には、車イスから歩行器につかまり立ち出来るようになっていた。

自身の中で次のマイルストーンに移行できると確信した時であった。

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